黒やぎの(てくてくわくわく 街道ウォーク)番外編

ふとした事から街道ウォークの付き人になった黒やぎのひとりごとです。ルピナス主宰の(てくてくわくわく 街道ウォーク)(http://kaz-mt-wisteria.hatenablog.com/)とあわせて見てくださいね

音楽鑑賞の時間

今でもあるのでしょうか?中学校の音楽鑑賞の時間。音楽の授業で、一定時間、クラシック音楽などを(聴かなくてはいけない)時間。あれが、心底好きな人はどれくらいいたのでしょうか?

中学生の時、あたしは、カーペンターズ一筋の洋楽ポップスファンで、音楽鑑賞の時間はひたすら、じっと、時間の経過だけを待っている普通の生徒でした。

でも、私の居た少人数学校の✕学園は、違うタイプの音楽鑑賞もありました。

中学高校一貫校で男女別学。昼食は食堂の代わりに使っていた昭和10年代建築の古い体育館で一堂に会して食べていました。そのあと報告の時間、外部講師のおはなしなどの中に、安部道雄先生の(音楽鑑賞の時間)がありました。

センセイは60代後半になる数学を教えて下さる方でしたが、大変なクラシックファン。しかし、こちらは中高のいわばガキどもです。

センセイはご自分のLPレコードを持参されると、このあたりをかけてくれと生徒に命じ、交響曲管弦楽曲など、わざと?にぎやかな楽章を選び、その中間部分でテーマがガラッと変わった瞬間、椅子からすくっと立ち上がると・・右手を高く上げて人差し指で天をさしながら

「ここ・・・ここがいいんです。」

と一言だけ、私たちに直球を投げて、すぐに着席。野武士のような古風な顔立ちの先生が一瞬だけニカッっと笑顔になります。

ほどなく当該楽章が終わると

「演奏は〇〇指揮の△▼フィルハーモニー管弦楽団でした」といい余計な解説はしないでぱっと終了するのでした。おばかな中高生は大拍手。(すぐ終わるので)

 

くろやぎ、感心したんです。あ、こういう、(いいものはいい、好きなものは好きだ。私はこの曲、この部分が大好きだ)という愛好の仕方もあるのだなと。理屈抜き、勉強要素なし、感覚で聞くのもアリ。

自分に合っていたね。

 

そのあと、高校一年の時、母親が放った小さな一言から、クラシック音楽をレパートリーに入れるようになりました。いまでは、市民合唱団に参加して歌う傍ら、その課題曲を何種類かアマゾンで頼んでは、比較鑑賞するのもいける、クラシックがそこそこすきな初老のおじさんになりました。その気になると、嵌る性格のようです。

 

あれから、もう40年以上前になりましたが、今でも、先生の天井を指さす姿が脳裏に浮かび、ここがいいんです、という声が聞こえてきます。

ちょっと風変わりで、とても良い先生でした。

おかげで、人生の幅が広がったような気が致します。

あの時は本当にありがとうございました。