黒やぎの(てくてくわくわく 街道ウォーク)番外編

ふとした事から街道ウォークの付き人になった黒やぎのひとりごとです。ルピナス主宰の(てくてくわくわく 街道ウォーク)(http://kaz-mt-wisteria.hatenablog.com/)とあわせて見てくださいね

むかし見た紅葉

今週のお題「紅葉」にしたがって・・・・・・・・

 

昭和40年ごろ、ウチノ父親はどうも思い切りのよいこと全盛期だったように思います。父はオートバイのメーカーに勤めておりまして、会社はその後4輪にも進出したりサーキットを作ったりするのですが、(創業者の趣味もあってね)とにかく、どこか遠方に出張のたびに、理由を作って家族を呼び寄せて、ついでに遊んで、って調子でした。

この時は、福島県郡山市に出張で、家族+1名(私、母親、川崎市に住む伯母)が後から追いかけました。昭和40年ごろの郡山ですよ、まだ東北新幹線はありませんから在来線の方の、東北線上野駅を12時ごろ各駅停車、緑とオレンジ色の黒磯行にのり、わいわいおべんと食べて、さあ、黒磯に着いた。11月上旬ですから、ホームにあたたかい晩秋の夕日がさんさんと照っていて、乗り継ぎ列車に跨線橋を渡って乗換えるのですが、あたしはまだ4歳ですから、二人の大人に引っ張られるようにして、あがって、おりて、茶色の客車列車に乗り込むのです。

そこで記憶が途切れ、気が付くと日はとっぷりとくれて、車内は20wくらいの白熱灯がクリーム色のカバーに覆われて、薄暗く、お客さんの顔もよく見えないくらい、よく連続テレビ小説とかで、夜汽車のシーンがあるでしょう、もう、あんな感じです。ボオオオオって、SⅬの汽笛まで聞こえて。

着いたばかり郡山駅、横に長い駅舎、サーチライトが夜空に光り、オレンジ色の大きな字体で郡山駅と、確かに書いてありました。さむいなあって、東京より少しばかり明かりがないなあって。

次の朝、もう父親と合流(出張はどうしたんだあ??)大きなバスに乗り込みます。くろやぎ、生活環境に路線バスとかなくて、このバス、でっかい窓の観光バスだったんですが、それだけで感激しました。紅葉を見る、というのです。くろやぎは小さくてよく見えないといけないから、と、茶色の古びたボストンバックをシートの上にのせ、その上に座ることになって。

バスは(吾妻スカイライン)という有料自動車道路を、ゆっくり、登って行きました。そのまあ、山肌にある木々が、全部、紅葉なんですよ。もう、あたしの瞼に焼き付いている、あか、きいの葉の色とピーッカンの青空、皆さんに見せてあげたいくらい、美しかったです。快晴ですから、光の量も半端なく、下から見る紅葉の葉、むちゃくちゃ綺麗で・・・山道が永遠とも思えるほど続いて、光景が変わるたんびに、大人たちの歓声で車内が一杯になるのでした。令和の現代なら、きゃあきゃあ騒ぐ若者や女子はたくさんいますが、昭和40年ですよ、戦争終わってまだ20年、みんな我慢強くつつましい大人ばっかりだったのに、うわああ・・そのくらい、紅葉凄かった。くろやぎにとってホントに一生もの紅葉狩りでした。

観光バス、福島駅に着き、その晩は飯坂温泉へ。いまでもある、福島交通という電車で行ったのですが、2両編成の車両が半端なく込み合って、あたしは父におんぶされて。その時の大人たちの姿と、はめ込み式の扇風機の形状を今でも記憶しています。

旅館に着いて、部屋に入ると、テレビ大好きなくろやぎは、当時18時代にNHK総合テレビでやっていたドラマを付けようと、飛んでいきました。真空管だったであろうテレビは意外に早く付いたのですが、東京なら常識の1チャンネルに何も映りません。伯母がすかさず「1番じゃないじゃないの?」と、チャンネルをぐるっと、回してくれました。随分回した先で、NHKが映りましたが、ドラマは最後の、主人公のお姉さんが振り向くときでした。くろやぎ、好きな番組が終わるときって駄目で、うへええええって泣いてしまう癖があり、(そのころね、今は大丈夫)べそをかいて、伯母に抱きついた記憶があります。そして、東京の常識が全てではないことも、4歳のこの時学びましたね。アナログ放送の頃、総合テレビが1チャンネルなのは、東京と山梨県甲府市だけだったと聞いています。

ここまで、鮮明な記憶があるのに、福島市からどうやって東京に帰ったかを、全く覚えていないンですよ、私は。反対に、父親の故郷に盛岡駅から、始発の電車特急「やまびこ」にあさ、乗り込んで、食堂車でレモンティーを飲んだ記憶があるんです。この4人で。だから、もしかすると、福島から長躯盛岡まで移動し、父の実家にも行って泊り、(あのころシティホテルはほとんどなくて、まだ泊るのは旅館だったし)やまびこに乗って東京に帰ってきたのでは?と、想像しています。残念なことに、両親も伯母も亡くなり、もう空の上の人なので、聞いて確かめることが出来ないでね。

きょう、11月26日は父親の誕生日です。

生きている間大して親孝行も出来なかったから、せめてブログでほめてあげようと思って、あの吾妻スカイラインの紅葉は、その後何度も家族の話題になるほど、とてもとても美しい、一生ものの紅葉でした。連れて行ってくれた父に感謝です。

今日も長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。