黒やぎの(てくてくわくわく 街道ウォーク)番外編

ふとした事から街道ウォークの付き人になった黒やぎのひとりごとです。ルピナス主宰の(てくてくわくわく 街道ウォーク)(http://kaz-mt-wisteria.hatenablog.com/)とあわせて見てくださいね

楽しかった一人暮らし

仕事の関係で、東京からひとつ隣の山梨県甲府市で一人暮らしをしたことがあります。もうちょうど30年も前のことになります。

引っ越したのが6月。

東京よりも少しばかり暑い土地だったようで、一番先に現地で買ったのは冷蔵庫とエアコン。土地勘もなく、まだそのころ大手家電量販店は今ほど発達していなかったので、仕事先で借りた自転車で、いまはなきダイエー甲府店までとんでいって揃えました。冷蔵庫がないと簡単に食物が傷み、エアコンがないと帰宅時の部屋の暑さは半端ないことが分かったからです。ダイエーは電気製品が少しばかり安くて、とても助かりました。

冬の備えも大切で、一番小さな石油ストーブを買って備えました。営業所の所長さんがとてもいい人で、東京に出張する用事があれば率先して命じてくれたし、必要なら土日は車も自由に使ってよいと言ってくれました。よく、灯油を買いに使わせてもらいました。三十年前のホンダシビックシャトルパワステなしのマニュアル車、運転は楽しく、金曜日の出張の帰り、東京~甲府間をわざわざ夜中にした道(国道20号)を通って帰りますと、営業所の隣に住んでいた所長さんが、うへ、もう帰ってきたと言って驚く顔が見たくて時々やりました。若かったなあ。

ルピナスが金縛りの話を書いておりますが、一人暮らしの最初の頃、夜寝るときに緊張のせいか、遠くで電話が鳴っているような錯覚に陥りましたし、夢で強盗が入ってきたこともあるし、金縛りもありました。でも、楽しいことも多く、たまたま降る雪の夜には日本酒を片手に雪見酒をしたこともありますし、金曜日の夜十時ごろから急に思い立ってそばを打ち始めたり、何かと自由で楽しい暮らしでした。

ただ、一人暮らしを始めて半年を過ぎると、それまでの暮らしぶりがハイペースで無理を重ねていたのか、また山梨の寒さが半端なかったせいか、疲れを覚えるようになりました。会社もそれを見ていたのかどうか?甲府市の単身赴任は9ヶ月で幕を閉じ、東京に戻ることになりました。

取引先に挨拶に行ったところ、そこは東京電力系の子会社でしたが、それでは万歳三唱をしようと言って頂き10人くらいの方に送り出してもらい、嬉しいやら恥ずかしいやら、山梨のみなさんの心の温かさを感じました。

炊事洗濯掃除、くろやぎ自身が死なない程度にはできますので、いまでも一人暮らしをやろうとすれば無理なく実行できると思いますが、寂しさだけは解消出来ないなあ。人生には話し相手が必要なのも五十代になって甲府の頃の何十倍も感じますし。

ルピナスのことを大事にしないとってね。ハイ、また起こしてあげますよ。