黒やぎの(てくてくわくわく 街道ウォーク)番外編

ふとした事から街道ウォークの付き人になった黒やぎのひとりごとです。ルピナス主宰の(てくてくわくわく 街道ウォーク)(http://kaz-mt-wisteria.hatenablog.com/)とあわせて見てくださいね

夜行列車の通過

数年前に新年会で蒲田に参りました。1月の寒い夜。アルコールが入りちょっと大胆に川崎で降りることにしました。

夜の川崎西口に降りるのは初めてですが、昔の国鉄変電所の跡、そしてミューザ川崎の東側を抜けて、高層棟の団地のところにやってきました。道路も連絡通路も完備した空間の向こうに、JRの線路が昔と同じように見えます。21時18分、東京を21時ちょうどに出た寝台特急「出雲」がここ川崎、黒やぎの前を通過する頃です。

しゃああああああ、ものすごく静かな通過。かすかに先頭の電気機関車のモーター音はするものの、客車が軽いのか、またロングレールで、ダダン、ダダンというレールの継ぎ目の通過音がないためか、しゃあああ。回送列車でも見るように、ごく静かに、あっけなく彼らは西に向かって行ってしまいました。

こんなもんじゃないんだよなあ。

南武線に乗るために西口へ戻ったわたしです。

ちょっとがっかりだな。

 

あたしの目と耳に残った記憶で再現しますね。

列車は21時45分発の寝台急行 大阪行きの銀河1号としましょう。団地の場所からすると、東海道線の下り列車線路が一番遠くになりますが、この時間だと、手前に来て視界を邪魔する東海道線の上り列車も、京浜東北線南武線も、もう本数が少なくて、偶然視界に重なって邪魔することはほとんどないので安心でした。反対に夕方の時間、西に下る九州特急は、ラッシュ時間に重なるのでかぶってしまうことがありました。

夏でしたら公団の重たい鉄の窓枠をそっと動かして、外の音を聞きながら、列車を待ちます。気の利いた機関士だと、川崎駅構内を通過するときに、ヒっ、小さな汽笛を鳴らします。機関車の通過音が駅の方からだんだん大きくなります。最初は6輪のおと。

(しししししし、かかかかかか、)いきなり真っ暗な中に光量のある白熱灯と機関車のシルエット、そして(だだだだだだ)という重量感一杯の線路継ぎ目通過音です。

続いて客車が10両以上。ががん・ががん、、、、、ががん・ががん。もうカーテンやブラインドも完全に降りて、通路以外は真っ暗の客車。出入り口だけ電気がつき、時々デッキでタバコを吸うおじさんがいるのが見えて、ががんががん、食堂車のない銀河一号はまっくらなまま、最後の一両が通過して、うっすらとテールランプを見せて横浜の方へ消えていくのでした。

 

反対に朝早く帰ってくるのも寝台急行の方がずっと先でして。真冬になりますと、不思議と1等車の屋根の上にだけ、岐阜や関が原でもらったであろう真っ白な雪がそのまま、川崎まで溶けないで大きく残っといることがありました。

なにしろ、夜のことなので、写真も動画もないのですが、黒やぎの記憶の中にはしっかりと焼き付いておるのであります。